vSphere 6リリースと同時に、VSANバージョンも6がリリースされました。
バージョン5.5よりスケーラビリティが2倍に拡張されたことはもちろん、All Flash Arrayサポート、フォルトドメイン概念の導入、そしてユーザビリティが大きく改善されました。
個人的にはVSANを検討しているのであればバージョン6を推奨しますし、すでに5.5を導入している場合はバージョン6にアップグレードすることをオススメします。
VSANのアップグレードはローリングアップグレードです。ESXiホスト1台ずつ行われます。
例えば、ESXi-01、02、03、04 計4台で構成されているVSANクラスタのアップグレードの流れは以下のとおりです。
① アップグレードを実行するとESXi-01のデータが他のESXiホストへ再同期されます。FTTによる可用性を維持するためです。
② データの同期が完了した時点で、ESXi-01のディスクグループを削除、新しいVSAN FS フォーマットされたディスクグループを作成します。
③ 正常にディスクグループが作成されたら、順次ESXi-02→03→04順に①、②が繰り返されます。
④ すべてのESXiホストのディスクグループ作成が終わったら、VSANのアップグレードも完了です。
簡単です。w
ただし、1点注意することがあります。
VSANクラスタが3台のESXiホストで構成されていて、FTT=1の場合はデータが2台のESXiで保持され、ウィットネスは2台とは別のESXiのホストに生成されます。
そのためアップグレードの場合は、仮想マシンの稼働に確保できるホスト2台しかないため、アップグレード時の可用性チェックをスキップする必要があります。(仮想マシンの稼働には問題ありません)
可用性チェックのスキップは、アップグレードコマンドに”--allow-reduced-redundancy”を追加します。
VSAN 6へのアップグレードについて、簡単に紹介します。
VSAN 6へのアップグレード作業にはいくつか前提条件があります。
■ 前提条件
- vCenter 6へのアップグレード
- ESXi 6へのアップグレード
- vSphere HA アドミッションコントロールの無効化
アップグレードはrvc(Ruby vSphere Console)を利用します。
VSANクラスタのESXiを6にアップグレードすると、次の画像のようなアラートが表示されます。”VSANクラスタだよー。アップグレードが必要だよー”ってね。w
① まず、rvcを起動します。vCenter 6のrvcは以下のフォルダにあります。
C:\Program Files\VMware\vCenter Server\rvc\rvc.bat
② rvc.batを実行、次のコマンドで既存VSANの情報を確認します。
vsan.disks_stats /localhost/データセンター名/computers/VSANクラスタ名
vsan.disk_statsを実行するとVSANのヘルス状態が”正常”であることとバージョンが”v1”であることが確認できます。
③ 次のコマンドを実行し、現在VSANにてデータの同期などが実行されていなことを確認します。
vsan.check_state /localhost/データセンター名/computers/VSANクラスタ名
上の画像のとおり、再同期やアクセス不可のデータがないことを確認します。
④ 次のコマンドを実行し、VSANのアップグレードを実行します。
※本環境は3台のESXiで構成されているため、可用性チェックをスキップする”--allow-reduced-redundancy”を追加しました。4台以上のESXiで構成されている場合、FTTを考慮しても問題がなければ”--allow-reduced-redundancy”オプションは必要ありません。
vsan.v2_ondisk_upgrade --allow-reduced-redundancy /localhost/データセンター名/computers/VSANクラスタ名
1台ずつアップグレードされます。(アップグレードにかかる時間は各ESXiホストのデータ量によって異なります)
ちなみに再同期のステータスは[クラスタ]→[監視]→[仮想SAN]→[コンポーネントの再同期]から確認できます。
⑤ すべてのアップグレードが完了したら、次のコマンドでVSAN情報を確認します。
vsan.disks_stats /localhost/データセンター名/computers/VSANクラスタ名
vsan.disk_statsを実行するとVSANのヘルス状態が”正常”であることとバージョンが”v2”に上がっていることが確認できます。
(vSphere Web Clientからも[クラスタ]→[監視]→[仮想SAN]→[ディスクの管理]の”ディスクフォーマットバージョン”にて確認できます)
⑥ rvcを終了します。
これでVSANアップグレードは終了です。アップグレードの過程で保護中のデータが”旧バージョン”や”コンプライアンスに非準拠”になることがありますが、自動的に”準拠”に変わります。反映されない場合は、 "仮想マシンのストレージポリシーのコンプライアンス確認"を実行し、手動で反映させます。