**** 留意事項 *****
こちらのブログの内容はDECN(Dell EMC Community Network)に投稿されたブログの再掲です。
DECNが近い将来に廃止となるためこちらに移行させていただいております。
内容についてはオリジナルの執筆当時のものとなりますので最新ではない場合がありますがご容赦ください。
本記事は以下の記事の続きです。前提条件や用語の確認などがありますので、前回記事を読んでいない方はご一読ください。
本記事では前回記事で説明した対処法の一つである、
② 仮想マシンをGuestOS側からShutdownし、即座に別のESXiで起動(ダウンタイム数分~数十分
について説明します。
実施方法
※下記手順では仮想マシンの停止~起動を繰り返していますが、必ず1 VM ずつ実施してください。
本手順では仮想マシンを順々に移動していきますが、VMの種別として、以下の順番で実施します。
1.GuestOSから安全にShutdownできるVM
2.VCSA/PSC
3.GuestOSから安全にShutdownできないVM
- 安全にShutdownできないVMとはGuestOS側からShutdownする手順が存在しないVMのことです。
- VxRail環境ではVMware Log InsightがデフォルトではGuestOS側からShutdownする方法がなく、安全にShutdownできないVMに相当します。
対象ESXi上の安全にShutdownできるVMの移動方法
- 仮想マシンのダウンタイムの調整が完了したら、対象ESXi上の仮想マシンの一つGuestOS側からShutdownしてください。
- 具体的なShutdown手順や対象の仮想マシンを管理している担当者もしくは構築ベンダやOSベンダにご相談ください。
- Shutdownできたことを確認する
- Shutdownした仮想マシンを起動するESXiのHost Clientを起動する(WebClientではない)
- HostClientから仮想マシンの登録ウィザードを起動する
- 既存の仮想マシンの登録を選ぶ
- データストアから対象のVMを探す
- データストアから対象のVMを探す
- 対象の仮想マシンが選択されていることを確認して次の手順に進み、登録を完了させる
- 登録が完了するとWebClientで切断状態(またはdisconnected)ではなくなる
- 手動で別のESXiに移動した場合、ネットワークアダプタに接続できなくなるため、WebClientからネットワークアダプタをいったん別のポートグループに変更した後、再度元のポートグループに戻す。
- ネットワークアダプタのポートグループ設定を変更→戻しを実施したのちにVMを起動する。
- 起動時に質問への回答を選択する
- 移動しました、を選択してOKをおすとVMが起動する
- 仮想マシンの移動と起動が完了したので、GuestOSレベルでの動作を確認する。
- 同様の作業を対象ESXi上の安全にShutdownできるすべてのVMで実施する。※ただしVCSA/PSCでは実施しない。
- 対象ESXi上のすべての仮想マシンをShutdownし終わったら、ESXiのサポート(VxRailの場合はDell EMC)の指示通りにESXiを再起動し、作業後にヘルスチェックを実施してください
対象ESXi上のVCSA/PSCがある場合の移動方法
- VCSAやESXiからPing可能であることを確認
- VxRail Manager GUIにログインまで可能であることを確認
対象ESXi上の安全にShutdownできないVMの移動方法
- 本手順の実施をする前に対象ESXi上には、安全にShutdownできないVMしかいないことを確認してください
- 安全にShutdownできないVMとはGuestOS側からShutdownする手順が存在しないVMのことです。
- VxRail環境ではVMware Log InsightがデフォルトではGuestOS側からShutdownする方法がなく、安全にShutdownできないVMに相当します。
- 正常にShutdownできない場合はESXiごと落とすか個別にKillするしかありません。本手順で想定している状況ではESXiへSSHでログインすらできない場合もあり、その場合は個別のKillは実施できず、ESXiごと落とす手順になります。
- 強制的にVMを落とす手順は、PCの電源を引っこ抜く行為に等しくファイルシステムが破損するリスクがあります。仮想マシン上で稼働するOSベンダやアプリケーションベンダに相談し、少しでも安全に落とせるような状況で実施してください。
- 実際の移行手順としてはvSphere HAによる移行が一番簡単ですので、BMCやiDRACのハードウェア管理インターフェースからESXiをShutdownするような手順になりますが、実施する前にかならずvSphere Web ClientからvSANヘルスチェックを実施して、冗長性の低下したデータがないことを確認してください。
- 確認方法は下記の前回記事の補足項目を参照してください。
- vMotionできない、、、そんな時。 (その②)
- データ冗長性に問題ないことが確認できたら対象ESXiを強制的にShutdownし、PonwerOnしてください。
- vSphere HAが有効な場合は自動的にほかのESXi上で再起動されます。
- 設定や条件などによってほかのESXi上で再起動されなかったVMはESXiの起動後に手動で起動するか、ほかのESXiの仮想マシンを再登録して起動してください。
- 起動後、正常性を確認してください。
- ESXiの再起動が完了したらvCenterから正しく認識されている(応答なし状態ではない)ことをvSphere Web Clientから確認し、Shutdownした仮想マシンを起動してください。
- 最後にvSANヘルスチェックとVxRail ManagerのDiagnostic(VxRailの場合)を実施して健全性を確認してください。
- こちらのヘルスチェック手順をご参考にしてください
- エラーや警告があった場合はサポートにご連絡ください。
この方法のメリット・デメリット
メリット
- ダウンタイムを短くできる。
- VMの移動を複数回に分けて実行できる
- 万が一ESXiが起動してこなくても安全
デメリット
- 手順が複雑
この方法の使いどころ
以下の場合にお勧めです。
- ダウンタイムを少しでも短くしたい
- 長時間のメンテナンスウインドウを確保できない
- VMによってメンテナンスウィンドウの時間が異なる
今回は非常にボリュームの大きい内容となっていましましたが、手間をかけてのダウンタイムを短くしたい場合などに有効な方法を紹介しました。
次回は、
仮想マシンを強制的にPowerOff(Kill)し、vSphere HAの機能で別のNodeにて即座に再起動させる。もしくは手動で起動する(ダウンタイム数分~数十分
について説明します。