下記の質問がVMTN Japaneseのディスカッションに投稿されました。
VCSA6.7.0b起動時に"Stopped DCUI", "Started DCUI"と繰り返し表示後に何も表示されなくなる
vSphere 6.7のテストをそろそろ考えていて、少し気になったこともあり検証してみました。
この記事ではディスカッションに返信した内容を、もう詳しく説明してみます。
検証結果
検証の結果、下記のことが分かりました。
- VCSAの初回起動時に、コンソール表示で「Stopped DCUI」「Started DCUI」の表示が繰り返される
- vCenter Serverに必要なRPMパッケージは、元々VCSAのディスク内に格納されており、自動で必要なパッケージがインストールされる
- ステージ1実行時に、システム名に名前解決できないFQDNを指定すると、ステージ1の最後にエラーが表示される
- 3のエラーの後、手動でステージ2を開始し正常にデプロイを完了することができる
また、VCSAデプロイにおける各ステージの動作の概要は下記の通りです
ステージ1
- UIインストーラーでパラメーターを入力
- ESXiホスト上にVCSAがデプロイされる(進捗:開始~80%)
- RPMインストールの待機状態
- VCSAの自動パワーオン後、しばらくするとコンソールにStopped DCUI⇔Started DCUIの表示が繰り返される
- 上記に前後して、VCSAの構成が終わり、ホスト名・IPアドレスが設定される
- DCUI画面が表示
- RPMインストールが開始(進捗:81%~)
- インストール後、RPMパッケージは自動で削除される
- ステージ1の終了画面が表示
ステージ2
- UIインストーラーでパラメーターを入力
- PSC、vCenter Serverサービスの起動
- ステージ2の終了画面が表示
1. VCSAの初回起動時に、コンソール表示で「Stopped DCUI」「Started DCUI」の表示が繰り返される
ディスカッションの元々の質問内容となりますが、この動作は必ず起こる規定の動作のようです。
VCSAのUIインストーラーだけを眺めていれば気付くことはありません。デプロイが正常に進んでいるか確認のために仮想マシンコンソールを開くと、この現象に遭遇することになります。
動作だけを見ると直感的には「怪しい動作」のように見える挙動です。
結果的には、しばらく放置すると正常なDCUI画面が表示され、その後のデプロイは正常に進行します。
2. vCenter Serverに必要なRPMパッケージは、元々VCSAのディスク内に格納されており、自動で必要なパッケージがインストールされる
ディスカッションの質問では、VCSA起動後の「RPMインストールが開始するまで待機しています」という表示が出て、ネットワークの阻害要因で進捗が進まないのでは?(要約)とありました。
この挙動について調べるために、デプロイ元のクライアントとVCSA間のネットワークセッション、トラフィックをモニタしました。
その結果、ESXiホスト上へVCSAのOVFパッケージの転送後はデータ転送も無く、またクライアントとVCSA間のセッションも無いことが分かりました。
ではインストールされるRPMパッケージはどこから来るのでしょうか?
ステージ1のRPMパッケージのインストール最中、VCSAのDCUIからshellを起動し、ファイルを探すと下記のディレクトリにRPMパッケージがあることが分かりました。
/tmp/mount
VCSA 6.7.0bでは94個のRPMパッケージがありました。
このRPMパッケージはインストールが終わると自動で削除されます。
参考にRPMのリスト(rpm.txt)を添付しておきます(記事下部参照)。
3. ステージ1実行時に、システム名に名前解決できないFQDNを指定すると、ステージ1の最後にエラーが表示される
読んでそのままの内容ですが、名前解決のエラーやDNSサーバーが用意できないにも関わらずFQDNを指定した場合、下記のエラーが表示されます。
(参考)成功時
VCSAの仮想アプライアンス自体はデプロイに成功しているので、ステージ2に進むことができます。
その場合はブラウザで下記のアドレスにアクセスします。
4. 3の後、手動でステージ2を開始することができる。
ブラウザでステージ2を手動実行する場合、まずはSet upを選択します
その後、VCSAへのログインパスワードの入力を求められます
ステージ1が完了していることを確認して、ステージ2へ進みます
ここで、ステージ1時で名前解決ができなかったため、再度パラメーターの入力が求められます。
この時点で、システム名に引き続きFQDNを指定する場合は、必ずDNSサーバーを用意して名前解決ができる状態にすることが必要です。
名前解決ができない場合、ステージ2実行後すぐにDNSのエラーが出て処理が止まります。
なお、このエラーが出てしまった場合は、アプライアンスは使用不可となり、改めて新しいアプライアンスをデプロイするところからやり直しになります。
名前解決ができる場合は、処理が進んでステージ2が完了します。
以上、検証した内容をざっとまとめてみました。
参考にしてください。